ゲゲゲの鬼太郎 作者 水木しげる「幸福の七カ条」

世代を超えた人気漫画「ゲゲゲの鬼太郎」の原作者、故 水木しげるさん(1922-2015)が提唱する、幸せになるための知恵をまとめた7カ条がとてもためになると思ったので、ご紹介します。

水木しげるさんは、生まれてからずっと、自分の「好き」という気持ちに正直に生き続けて、ついに「食い切った」という方です。

戦時中は19歳で兵役に召集され、3年間を南国の戦地で過ごし、毎日上司に「ビンタ」され続ける中、なんと土人(原住民)達ととても親しくなる。

所属していた第一線の少隊が次々に壊滅していく中、数々の奇跡的な幸運により生き延び、さらに入院中の爆撃によって左腕を失うが、一命を取り留め生還します。

帰国後は、子どものころから好きだった「絵を描いて生きていく」と決意するものの、テレビ普及などの影響で絵を描く仕事が激減していく中、単価が安くてもなんとか描き続けて食いつなぐという長い貧困時代を過ごす。

ついにヒット作に恵まれたのは42歳の時だった。

それからは、仕事が激増。働きすぎて何をやっているのか度々分からなくなることもあった。

やっと落ち着いてきたのは60歳を過ぎてからだという。

そんな激動の人生を幸運と共に歩んで来た水木しげるさんが、「何十年にもわたって世界中の幸福な人、不幸な人を観察してきた体験から見つけ出した」という幸せになるための知恵をまとめたものが「幸福の7カ条」だということです。

目次

幸福の七カ条 (水木しげる)

第一条 成功や栄誉や勝ち負けを目的に、ことを行ってはいけない。

第二条 しないではいられないことをし続けなさい。

第三条 他人との比較ではない、あくまで自分の楽しさを追求すべし。

第四条 好きの力を信じる。

第五条 才能と収入は別、努力は人を裏切ると心得よ。

第六条 なまけ者になりなさい。

第七条 目に見えない世界を信じる。

それでは水木さんを迎えて、以下で少し解説してみます。

第一条 成功や栄誉や勝ち負けを目的に、ことを行ってはいけない。

水木さんが、古今東西の「あの世」のことを調べていて、気づいたこと。

それは、地獄の様子はさまざまなのに、天国の様子は世界中ほとんど同じだということ。

「美しい川が流れ、薄物をまとった美女がいて、おいしそうな食べ物があふれている。

まさに、・・・今の日本こそ、天国じゃないですか!

それなのに、悲壮な顔をしてあくせく働いている日本人が多いのは、
成功や栄誉や勝ち負けにこだわってばかりで、仕事でも、趣味でも、恋愛でも、
熱中することを忘れてしまったんじゃないですか!

好きなことに没頭する。そのこと自体が幸せなはずなのに・・・。

もちろん成功できることに越したことはないが、成功できるかは時の運です。

成功しなくてもいいんです。全身全霊で打ち込めることを探しなさい。」(一部抜粋)

と水木さん。

いやあ、10年前の僕にも、20年前の僕にも聞かせてあげたい言葉です。

第二条 しないではいられないことをし続けなさい。

打ち込めることを見つけるコツは、好奇心を大事にする。

好奇心がわき起こったら、とことん熱中してみる。

すると「しないではいられないこと」が出現してくる。

それでも、姿を現さないなら、ベビイのころ(小さいころ)を思い出してみる。

無我夢中で遊びや趣味に没頭したころを思い浮かべてみる。

第三条 他人との比較ではない、あくまで自分の楽しさを追求すべし。

我を忘れて没頭できること、本気で夢中になれることならどんなことでもいい。

周囲の目や評判に合わせて世間のルールに合わせるようなどとしてはいけない。

ひたすらばく進あるのみ。

誰が何と言おうと、強い気持ちでわがままに自分の楽しみを追い求めている「奇人変人」には幸せな人が多いことがわかった。

あなたも奇人変人になりなさい。わっはっは。

とのことです。

第四条 好きの力を信じる。

漫画家なんて、よほど好きじゃないと続かない。

好きの力が弱かった人は消えて行ったと思う。

第五条 才能と収入は別、努力は人を裏切ると心得よ。

好きなことをして才能が開花してどんどん伸びたとしても、それがマネーに変わるかどうかは別ということ。

水木さんも、相当長い間貧乏生活が続いた。

結果は時の運ということもあるし、努力に見合うマネーはなかなか得られないものだよ。

という意味。

第六条 なまけ者になりなさい。

好きなことをしているのなら、若い時に怠けてはだめ。

だけど、中年をすぎたら、上手に怠けるクセをつけるべきだ。

ときどきなまけることは、生きていく上で大切なこと。

そして仕事でも役立つ。

第七条 目に見えない世界を信じる。

これは、いかにも水木さんらしい視点だ。

水木さん自身が戦時中、何度も絶体絶命のピンチに遭遇する中、奇跡的に生還できたのは、目に見えない何かに生かされたと感じている。

それから、現代は、目に見えるものだけを信じやすい時代であるが、幸せそうにしている人は少ない。目に見えない世界も信じていた時代の方が、幸せだったとも言っているし、

土人(原住民)など、今でも目に見えないものを祭ったりする文化を大切にしている人たちほど幸せそうな顔をしていると言っている。

このような経験から導かれた第七条「目に見えない世界を信じる。」なのだろう。

まとめ

絵を描くこと、妖怪を愛した奇人・変人・天才水木しげるさんの「幸福の七カ条」を僕、三休サンがまとめてみますと。

1条~4条までは、幸せのためには「とにかく自分が好きで楽しいことをやれ!」
5条~7条までは、「でも金にはならんかもしれんよ。程よく怠けて、見えない力も信じよう。」

ということで、非常に現実的ともいえるバランスのとれた7カ条になっていると思います。

それから、水木さんの生き方を見ていると、「絵を描く」という好きなことをやり続けるために「紙芝居→貸本漫画→雑誌漫画→テレビアニメ」という具合に時代の流れにうまく対応して幸せに食いきった。という感があります。

「自分の好きなこと×時代の流れ」という視点がポイントになりそうです。

私たちも、幸せに食いきれる人生を送れますように!

参考図書-水木サンの幸福論