問題行動をする人の動機と目的、問題行動の第5段階

アドラー心理学についての本の「幸せになる勇気」中に、「問題行動の第5段階」っていうのがあって、すごく納得できる内容だったので紹介します。

書籍では、子どもの問題行動という視点で話が展開しているが、大人の場合にも十分当てはまると思う。

ちなみに僕は、第1段階の「称賛の要求」と第3段階「権力争い」を妻に対してやっていることがあるなぁと、自戒を込めて書いています。

目次

問題行動をする人の動機と目的

問題行動をする人の動機と目的とは、
ずばり「共同体の中で特権的な地位を得ること」である。

全ての問題行動は、自分を認めてほしい、という気持ちから生まれる。

共同体とは、家庭や学校、職場など、あらゆる2名以上の人が集まったものだと言える。

大きく言うと、町も国も、地球全体も共同体だ。

「叱ってはいけない、ほめてはいけない」

アドラー心理学では、「叱ってはいけない、ほめてはいけない」という立場をとり、賞罰を禁じる。

それはなぜかというと、自立した人間になるというアドラー心理学の目標があるから。

叱ったり、ほめたりという賞罰を与えられないと行動できない人間になっていくことは、誰かに依存した状態になる。つまり自立から遠ざかる。

そして、ほめられたいから行動するという動機付けを行うと、あいつより自分がほめられたいという、「競争意識」を生み出す。

また、ほめること自体が、上の者が下の者を評価するという「縦の関係」を生み出す要素があるため、「横の関係」を目指すアドラー心理学には、向かない。

第1段階「称賛の要求」 ほめてほしい

ほめてほしい。ほめられたい。ほめられるような行動をする。

それのどこが問題なのか?

では、ほめられたいという動機で行動していて、ほめてくれる人がいなかったらどうなるのか。

ほめられないからやらない。ということになっていきます。

相手の評価によって自分の行動を変える。相手から何も言われなければ、しない。

人目を気にして、相手の人生を生きるようになってしまうところに、ほめたり叱ったりされることを動機にすることの問題点があります。

第2段階「注意喚起」 注目してほしい

ほめられるような行動ができなかったり、ほめてくれないことが続くと、次には、なんでもいいから目立ってやろうという意識になっていきます。

自分に注目させるために、悪いことや叱られるようなことなどの、不適切な行動をとってまでも、目立とうとしていきます。

第3段階「権力争い」 反抗や勝負

全く相手の言うことを聞かなくなったり、ささいなことで言いがかりをつけて勝負を挑んできたりする。時には暴力に及ぶこともある。

暴力は一瞬で相手を屈服させることができるという、簡単な権力争いの手段である。

自分の力を見せつけるために、実力行使をやりだす危険な段階に入る。

第4段階「復讐」 嫌がらせをしてやる

権力争いを挑んだのに、相手にしてもらえなかったり、歯が立たなかったりして敗北すると、いったん引き下がり復讐を計画するようになる。

この段階に来ると長期戦の構えとなり、問題行動が深刻化してくる。

自分を認め、愛してくれなかったことへの復讐をするために、相手に嫌がらせをするようになる。

ストーカーや自傷行為もアドラー心理学では、復讐の段階だととらえる。

ストーカーや自傷行為をすることはお前のせいだと、自分を認めてもらえなかったことに対する復讐である。

第5段階「無能の証明」 自分は何もできない人間なんです

復讐よりも、もっと深刻な状態に入ると、自分は何もできない人間だという証明を繰り返すようになる。

私には何もできない、自分には価値がない。というように、自暴自棄になる。

そのような状態を続けることで、自分の相手をしてもらえなかった大切な人の「特別な存在」になろうとする。

全ての行動には「目的」があると考えるのが、アドラー心理学である。

自分自身が問題行動をしていると気づいたときにはどうすればいいのか

以上のような第1から第5段階までの問題行動を自分自身がしているなぁと気づいた場合。まさに僕の場合もそうですが。そんな時にはどうしていったらいいのか。

いずれの段階においてもポイントとなることは、

全ての問題行動は、「自分を認めてほしい」という気持ちから生まれる。ということ。

そのため、人から認められたいと思うのではなく、自分から自分や相手を認めていくことを目標にしていくように視点を変えていくことが大切になります。

そして「認められる」という言葉は、「愛される」とも置き換えることが出来る。

自分が「愛される」ことよりも、自分が「愛する」側に回ることを目標にしていくよう視点を切り替えていく。

人は生まれた時には、愛されなければ生きていけない状態で生まれてきますが、成長していくことで、愛する側に回れるようになっていく。それが大人になるということである。

「愛されるより、愛する方が難しい。」それはアドラー心理学でも認めています。

問題行動をする相手に対して、どう接すればいいのか

問題行動をする相手に対して、アドラー心理学ではどのように対処するのか。

まず一つ目に、挑発行為には絶対に乗らない。ということ。
例えば何か悪口を言われたとしても、言い返したりしない。
相手が問題行動を起こしても、叱らない。まずは見守るということ。

二つ目に、相手を信頼し、横の関係を築いていくこと。真の友人関係を目指すとも言える。

信頼とは、無条件にすることである。過去の実績などを担保とすることは、信用という。

信頼しても、相手に裏切られたらどうしよう

アドラー心理学には、「課題の分離」という考え方がある。

まず自分にできることを課題としてやる。

相手を信頼するかどうかは、自分の課題である。

そして、相手が自分を裏切るのかどうかは、相手の課題である。

はじめから相手を疑っていたら、信頼関係を築けることはないだろう。
だからまずは、相手を信頼する。それが自分ができる課題。

気を付けることは、自分が信頼したとしても、相手に自分への信頼を強要することはできないということ。

「人は、自分自身を信頼している位しか、相手を信頼することが出来ない」このような考え方がアドラー心理学には出てくる。

僕は、これはとても的を得た表現だと思っている。

自分のことを信頼してほしいと思っていろいろやってみても、なかなかうまくいかないことがある。そんなときは、相手が自信を持てない人なのかもしれない。

信頼するということは、「相手を信頼するという選択をした自分を信じる」ということだから、そもそも自分に自信がないと、信頼はできない。

自分を信頼してもらえるように、躍起になって努力をすることも大切かもしれないが、これからも付き合っていきたい相手に、自ら自信を持ってもらえるようにするにはどうすればいいのかと考える視点も大切なのではないだろうか。

何回裏切られても信じるのか。人付き合いのコツ。

ここからは、アドラー心理学ではなくて、僕の考え方になる。

人間関係を損得勘定で考えるのは、どうかと思うが、
時にいい人すぎて、利用されて損ばかりしてしまう人がいると思う。

そのような人におすすめする考え方。

1.まずは自分から信頼する。それがすべての人間関係の始まりになる。

2.そして、数回裏切られたら、付き合いをやめる。

数回とは、1回でも、3回でも、何回かは自分で決めればいいと思う。

これが仕事や友人関係の人付き合いのコツ。

切っても切れない親子の関係以外であれば、この簡単なコツでうまくいきます。

参考図書 - 幸せになる勇気 自己啓発の源流「アドラー」の教えII